【建築家?】坂口恭平さんが面白い話【芸術家?】
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そんな坂口さんは東日本大震災後に突如熊本に新政府を設立。初代内閣総理大臣に就任(?)しました。
震災当時は、政府の対応に疑問を持った方も少なくないと思いますが、だからと言って「独立国家を作ろう」と考えた人は、世界でも数えるほどしかいないのではないでしょうか。
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表面的に主張を聞くとめちゃくちゃに思えるのですが、坂口さんの著作を読むと、目から鱗なことばかりで本当に驚きです。
「なぜ家を建てる(人が生きていく)のにこれだけのお金がかかるのだろう」
「もともと誰のものでもない土地に、値段がついているのはなぜだろう」
このように、普段私たちが疑問を抱かない日常生活(貨幣経済)に鋭く切り込み、はっとするような視点を提供してくれるのです。
このセンスは「0円札」「超芸術トマソン」などで有名な前衛芸術家・赤瀬川原平さんにもかなり近いと言えるでしょう。
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当初、坂口さんの興味は、ホームレスの方々に向かいます。
私たちがゴミとして排除したものに、新たな価値や機能を与え、そこでお金をかけず生活を生み出してしまう。
もちろん公共の場の不法占拠…という問題はありますが、その発想力やたくましさに、坂口さんは人間の生活の原型、そして、私たちの一般的な生活に対するオルタナティブの可能性を見たようです。
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それで、現在読んでいるのがこの本です。
土地の全てが区画され、管理されているかに見える東京。
けれどよく見ると、ごく狭い空間に驚くべき可能性が展開していることがある…という実例が多く書かれています。
工夫に満ちたホームレスの方の家や、狭い駐車場が(車も含めて)実り豊かな庭になったり、などかなり面白いですが、中でも特にすごいと思ったのは「宇宙の缶詰」のエピソードですね。
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そんな坂口さんは、自殺対策ホットラインを自ら立ち上げたといいます。
自ら躁鬱病であることを公言されており、苦しみ抜いたからこそ、現実的な解決策の提示が不可欠であることを痛感しているのかもしれません。
いずれにせよ、日本にこんな面白い人がいるという事実に、とても勇気をもらっています。