30歳からのブログデビュー

アラサー男があなたに贈る現代版「徒然草」(つれづれぐさ)

村上春樹はノーベル賞に向いていない、という話

1.

 

村上春樹氏、ノーベル文学賞を逃しましたね。

 

候補ではあったけれど、まさかボブ・ディラン!?」という驚きはありましたが、村上春樹さんも、もっと年齢を重ねてからのほうが受賞する確率が高そうですね。この方、今の段階だとあんまり年齢を感じさせないし…。

 

2.

 

自分は去る大学時代、村上春樹氏を集中的に研究していました。

 

人気や重要度で言えば、ノーベル賞級なんですが、この方はノーベル賞に向いていない作家の代表格みたいな感じといえるかと思います。

 

①サブカルに接近しすぎている(トマス・ピンチョンとかも同じ)

②政治と絡めた文脈で、受賞理由を説明できない

③という以前に、選考委員が村上春樹の良さを理解できていない可能性が高い

④ポルノシーンが多くて、おまけに描写がエグい(と、国によっては思われている)

 

だから、亡命作家とか、差別と戦った作家、とかだと比較的取りやすいわけですね。要は「人間とそれを取り巻く環境・状況をいかに描けているか」という点はかなり見られていると思います。そういう視点だと、村上春樹氏の小説はあっさりした感じに思われている可能性がある。あっさりしているのにけっこうエロいと思われていたり。

 

あと、ノーベル文学賞は、何かと戦っていたり、困難な状況にある作家達を支援する意味合いも強いのだと思います。けれど、村上春樹氏はそんな支援が要らないほど稼いでいますし、名声もありますしね…。

 

でもまあ、川端康成大江健三郎と来て、スパン的にも日本人作家の受賞がちょうどいい、とは言えるかと思います。今後10年以内くらいには春樹さんも受賞できるんじゃないでしょうか? だから、気長に待ったほうがいいかも知れませんね。

 

3.

 

ノーベル文学賞近代文学の賞なのだ」ということを、皆さん意識したほうがいいかもしれません。世界的な知名度はあるけれど、その作家の価値や魅力を証明しきるものではないし…。

 

むしろ、ノーベル文学賞がなかなか取れないからこそ、村上春樹氏は21世紀の作家なのである、とも言えるのかもしれません。