子供が生まれて何となくわかった「少子化の原因」
日本に限らず、先進諸国の少子化が止まりません。
独身時代も、少子化は自分にとって大きな関心事の1つでしたが、実際に子供が生まれてわかったことも多いです。
なぜ少子化が進んでしまうのか?
その理由はおそらく「余裕がない」という至極単純な一言で済んでしまいます。
それでは、子供を育てるための「余裕」とは一体何なのか? 自分の実体験から、以下にまとめてみます。
①金銭的余裕
「先立つものは金」と昔からよく言います。
小学校から大学まで、すべて国公立で済ませたとしても1,000万円はかかると言われているようです。これが私立に入ったり、お金のかかる部活や習い事をさせようと考えたら、一気に金額が跳ね上がるでしょう。
…というか、保育園や幼稚園に入れる段階でそれなりのお金が必要。さらに言えば出産の段階で、入院費用とか検査費用とか諸々かかりますよね。終身雇用もないこの時代に「子供1人分のお金くらい余裕で出せる」という人は、多くないのではないでしょうか。
②人的な余裕
日中、子供をベビーカーに載せたり、抱っこ紐したりして移動しているお母さんたちをよく見かけます。
小さな子供は目が離せませんから常に一緒。ご飯を作ったり洗濯をしたり掃除をしたりしながら、常に子供の様子を見なければなりません。お父さんとスケジュールが合わなければ、お母さんが健診や予防接種に連れて行くことになります。
「ちょっと1〜2時間外出したいから子供を見てて」を頼める人がいないのです。
現在は、お父さんが育休を取るケースも増えてきているようですが、基本的に「育児はお母さん中心」が日本の現状ではないかと思います。「それでもシングルマザーのつもりでがんばるわ」という気合の入った女性は…多分マイノリティーではないでしょう。
③環境的な余裕
前にやっていたNHKの番組を見て衝撃を受けました。
この番組によると「もともと人間は群れの動物であり、1人で子育てするようにはできていない」とのことです。これに反するようにコミュニティーの希薄な、核家族的な育児を強いられているからこそ、多くの女性が産後うつを発症してしまうのかもしれませんね。
簡単に言えば、女性が不安を感じずに子育てするには「味方(味方がいる環境)が必要」ということです。
待機児童問題で、保育園や幼稚園にも入れるかどうかわからない。実家を頼ることもできない。旦那も日中留守でいない。そして、電車の中や街などで、小さな子に対して無理解な人もいます。…そんな孤独な環境を想像して「子育ては無理だな」と感じる女性が増えても無理ないな、と思いますね。
ちなみに男性の育休取得率は6%程度であるそうです。トホホ…。。
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また、作家の橘玲さんによれば「日本は労働時間が長いといわれるが、単位時間あたりの生産性も低い」とのことです。
これが一体何を意味しているのか。…1つには「日本人の多くの労働者が、非効率的な労働によって疲労しているのではないか」と考えられます。
ここで大きなポイントとなるのが「個人のリソース(資源)は有限であり、その使用の効率化がないことにはプライベートの充実もない」と言うことです。
子供のいない身近なご夫婦に「仕事で疲れてしまってたまの休日しか子作りできない」という方々がいます。なんだか笑い話みたいですが、実際、1人の人間の体力には限界がありますから、結構深刻な原因かもしれませんね。
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最近、不妊治療をしたり、高齢出産を考える人は増えているようです。
女性がある程度のキャリアを積んだり、まとまった貯金ができたり…などの余裕が出るのに、かなりの時間がかかることを物語っています。しかしながら年齢を重ねるほど、母子ともに様々な危険が増しますし、そもそも自然妊娠の確率も下がってしまいます。
……このように、少子化はそれ自体だけを見てもダメで「それを取り巻く様々な問題点が密接に絡んでいる」という点が重要です。
そのためにも日本の社会、各々の会社全体が「労働者の拘束時間を最低限にして、最も効率的に仕事ができる体制」を整えることが必須ではないでしょうか。(前にこのブログで書きましたが、ベーシックインカムの導入も良い方法かと思います。ダラダラとその場にいなければいけない仕事については、本気でロボットによる代用などを考えるべき!)
自分は闇雲に「出生数を上げなければいけない」とは全く思いません。ただし、せっかくテクノロジーが発達しているので、少なくとも子供が欲しい人が普通に子供を持てるように、世の中が変わっていくことが望ましいですね。