30歳からのブログデビュー

アラサー男があなたに贈る現代版「徒然草」(つれづれぐさ)

女優の役目は、歳をとって、それを晒すことかもしれない【映画『くじけないで』を見て感じたこと】

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本日、こんな映画を見ました。

 

くじけないで [DVD]

くじけないで [DVD]

 

 

本作は、実在の高齢詩人・柴田トヨさんがモデルの作品です。

 

なんと明治の生まれでいらっしゃる柴田さんは、2009年に、初の詩集を自費出版

 

2013年に101歳で亡くなられれまで、世代を超えて、人々の心に残る心を書き続けました。

 

そして、柴田さんが亡くなられた2013年に、この映画が公開されたのです。

 

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本作は、柴田さんの半生ついて知るのにもとても良い映画となっています。

 

一方、やはり本作を見て気になったのが、主演の八千草薫さんと、武田鉄矢さん(息子役)です。

 

八千草さんの演技は、もはや円熟の域。スクリーンに映るだけで、それが映画になってしまうと言う、まさに「本物の女優」。

 

50〜90代のまで、幅広い年齢の柴田さんを演じています。(スゴい!!)

 

八千草薫

八千草薫

 

 

驚くべきは、八千草さんが確実にお年を重ねられていらっしゃるにもかかわらず、その「美しさ」「輝き」など「核」の部分が、今も失われていないと言うことです。

 

変な例えですが、若き八千草さんが、特殊メイクで老人に扮し、演じていらっしゃるような印象すら受けるのです。

 

そして、本作の内容とはあまり関係ありませんが「女優」と言うものの本質を見た気がします。

 

…女優の役目は、歳をとって、それを世間に晒すことかもしれない。

 

そこで初めて、真価が問われるのかもしれない、と。

 

もちろん、原節子さんのように、ある年齢で引退しメディアに一切登場しない、と言う在り方も否定しません。

「映画は夢を見てもらうもの」と原さんが考えたのではないでしょうか。

 

しかしながら、女優にとって、いや女性にとって1番恐ろしいといっても過言ではない「年齢を重ねること」「若き日の美貌を失うこと」を背負い、その年齢にしかできない役柄をこなす、と言うのはとても尊い、いや、もはや、神々しいことに思えるのです。

 

***

 

また武田鉄矢さんといえば、「母」に並々ならぬ思い(笑)を、抱く俳優さんですから、その演技にも、不思議なリアリティーが付与されていました。

 

武田さんは、『金八先生』のシリーズ終了以降、そのイメージを払拭するように悪人やダメ男を演じる機会も増えましたが、本作もその1つと言えるかもしれません。

 

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そして、超高齢化社会といわれる、現在の日本に思いを馳せました。

 

私たちは、高齢者に対しては「面倒を見てあげなくちゃいけない人」「お荷物」などと考えています。

 

しかし、そうではないと言うことを、柴田さんは改めて教えてくれたのかもしれません。

 

人生経験を積み、時間的に余裕のある高齢者は、よき相談役(アドバイザー)であり、良きカウンセラーなのかもしれません。昔存在した、長屋のご隠居さん、あるいは姥捨て山の老母のように。

 

現実問題として、介護を賄う人材は、増員せざるを得ないでしょうが、それを単なるマイナスと見るのは、浅はかと言うものかもしれません。

 

高齢化社会、いや、高齢者一人ひとりの中に、何かイノベーションのチャンスがあるような気がしてなりません。

 

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私ね 死にたいって 思ったことが 何度もあったの


でも 詩を作り始めて 多くの人に励まされ


今はもう 泣き言は言わない

 

 

九十八歳でも 恋はするのよ


夢だってみるの 雲にだって乗りたいわ

 

「秘密」柴田トヨ