宮沢賢治〜尽きない魅力に満ちたヒト
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『注文の多い料理店』『銀河鉄道の夜』…などなど。ユーモアがあって、ちょっと怖い。けれど色彩・匂い・皮膚感覚など、五感に訴えかけて、読む人の心を奪う。1度読むと、2度と忘れられない。宮沢賢治は、そんな童話や詩が書ける希有な作家だ。
一説によると、賢治は共感覚を持っていたとも言われているようで、誰にも真似できない作品の秘密の1つ、の可能性もある。(自分の恩師がそんな本を出版していたと思う)
子どものころは童話、青年期以降は詩や手記など、読み手が年齢を重ねても、読める。そして、その思想的な部分にまで触れてみると、賢治の博学・深い洞察に驚くことだろう。自分は、今の日本に「文学なんてもはや無い(というか文学がとてつもなく困難)」と思っているけれど、賢治は別。30歳のいま、興味が再燃している。この数日で作品を読み込んでみようと思っています。
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今回、岩手の『宮沢賢治記念館』にも足を運んでみましたが、なかなか良いところでした。
発見だったのは、賢治が素晴らしい絵描き(イラストレーター?)でもあったということ。もしかしたら、画家を目指しても後世に名を残せたのでは?と思いました。実際に地元では有数のレコード・浮世絵のコレクターでもあり、当時まだ新しかった映画も好きだったようです。賢治は、芸術全般に興味と理解があったのですね。
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自分の場合、はじめて賢治を教えてくれたのは、小学校のときの図画工作の先生であったと記憶しています。自分は図工の時間にかなり変わった作品ばかり作っていましたが笑 先生はそれを笑わずに、何かいろいろ話してくれた気がします。
その先生が八戸に行ってしまうことになり、ちょっと悲しかったような。しかし、"宮沢賢治"はその後20年以上も自分の中に残り、こうして初めて賢治の里を訪れることになったのです。…人生は不思議です。
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岩手では、深い緑に身をゆだね、賢治がオノマトペで表現した雨・風の音を聞いています。
風がどうと吹いてきて、 草はざわざわ、木の葉はかさかさ、木はごとんごとんと鳴りました。
『注文の多い料理店』より
そして、所々に賢治の姿が見え隠れするように思えたり。
そして、花巻周辺で賢治がとても大切にされ、その存在感が21世紀の今でも大きいことが、何よりも嬉しかったです。
宮沢賢治全集〈8〉注文の多い料理店・オツベルと象・グスコーブドリの伝記ほか (ちくま文庫)
- 作者: 宮沢賢治
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1986/01/01
- メディア: 文庫
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