世界を見に行く…青年の末路
1.
コロンビアで、日本人青年が殺害された。ご冥福を祈りたい。
命は平等であるし、尊いことに変わりはないけれど、国によってはそれが簡単に失われることがある。
2.
実は、コロンビアは、世界有数の治安の悪さだ。
殺人件数:14883件/年(1日に41件)
南アメリカ大陸の北に位置するコロンビアは、麻薬製造とその密売で悪名高い国である。
また、スペイン人系統の裕福な人とコロンビアのほとんどを占める貧民との間で、誘拐や強盗事件などが多発している。
1990年代には、誘拐と殺人の件数は年間30,000件を超えたが、そのうち97%は処罰を受けなかった。
コロンビアには麻薬組織やテロ組織、マフィアが存在し、警察ですら、殺害や誘拐のターゲットになることが珍しくない。そして、警察そのものにも賄賂や汚職がはびこっていた。現在はどうか知らないけれど…。このように警察機能がマヒしている国も少なくない。
コーヒーの名産国であるため、意外に感じる方も多いかもしれないが、日本では一生遭遇しないような危険な目に遭う確率もかなり高いのだ。
「世界を見に行く」という若き青年の志は素晴らしい。
しかし、これから海外へ行かれる方は、きちんと危機意識を持っていくべきだ。
…今はネットがあるので、最低限、大使館や外務省からの情報をチェックし、治安レベルやテロレベル、犯罪件数や、外国人がよく遭遇する被害などを確認しておく。できれば、近年邦人の身に起きた事件のニュースも調べるといい。
そして、それらの犯罪に遭うリスクをよく考慮した上で、心配ならば、渡航しないという選択も英断だ。結局、自分の命を守れるのは、自分自身だからだ。
どうしても危険な国に入るならば、信頼できるガイドやコーディネーターに同行して貰う、あるいは雇うこと。
「君、ダメだよ。電子機器なんか手に持ってたら。盗まれるよ。しまいなさい」
「盗まれても追いかけるな。命のほうが大事でしょ?」
…そう言ってくれるガイドやコーディネーターがいれば、彼は亡くならずに済んだのだ。いたたまれない。
3.
自分は「家に帰るまでが遠足」という言葉が好きだ。
すべての旅行者は、この言葉を胸に刻むべきだと思う。