さようなら24時間、の話
1
ロイヤルホストが24時間営業を廃止するという。また、飲食業界では異例ともいえる定休日の導入も検討しているとか。
自分の地元には、24時間営業の喫茶店やファミレスが、徒歩圏内に2つ、車で行ける場所なら5個程度思いつく。
一方、旅をして地方や田舎に行くと、24時間営業の喫茶店やファミレスが1つあればいいほうだ。でも、別に困らない。
2.
20代の頃を思い返すと、夜型で、徹夜で仕事をしたり、締め切りに追われて深夜まで仕事をせざるを得ないケースも多かった。
そんな時は深夜営業のファミレスに行って、一晩中PCとにらめっこしたりした。
でも、30代になると仕事が管理できるようになり、あえて夜に仕事をしなければならないことも減ってきた。もちろん、体力的に、夜仕事をすることがきつくなって来ているわけで…。
最近言われ始めたことだけど、日本の企業は、少々「サービス過剰」なのではないかと思う。 これは素晴らしいし、日本ならではの長所だと感じるけれど、やっぱりそこで金銭的な見返りが発生してしかるべきだと思う。
よく、今後の社会や企業のあり方として持続可能という言葉が使われるけれど、これはつまり「無理をしない」ということだ。
仕事をしたり、あるいは社会を運営する以上、ある程度一人一人が頑張ったり、気を付けなければならないこともある。
しかし、それが報酬に繋がらなかったり、長続きできないほど無理をしなければならないならば、そもそも 運営体制が間違っているということだ。
ただ、社内体制がきちんと設けられていても、進んで残業してしまったり、自ら過酷な労働環境に追い込んでしまう人が少なくないようだ。
その根底には、「苦労すれば報われる」という美しい理念(思い込み)があるのではないか。
3.
かなり頑張っても、逆に結構手を抜いても周りの人と同一の賃金がもらえるアルバイトや、それに近い形で働くサラリーマンの方にはわかりにくいかもしれないけれど…
「苦労や頑張り」と「報酬」は、実はあまり結びつかない。
報酬は「生産性」と言い換えてもいいかもしれない。
こんなエピソードを聞いたことがある。
ある部署で、定期的にデータ整理をする期間があり、その時は数人の社員が1日中その仕事に従事しても、計1週間〜10日もかかっていた。
しかし、とある新入社員がパソコンに強く、自分でプログラムを書いて仕事を1日で終わらせてしまった。
普通に考えれば、その新入社員は、全員から称賛されるはずである。けれど実際には、先輩たちからのひんしゅくを買い、不評だったそうだ。
その先輩たちからすれば、何年もこの仕事をやってきて、かなり上達しており、自信を持っていたはずだ。とてつもなく大変な仕事なので、もちろん苦労しただろう。
しかし「たった1人の新入社員が自分の積み重ねてきた苦労や評価を台無しにしてしまった」…そんなふうに感じたのではないだろうか?
でも、会社全体、あるいは社会全体の利益から考えれば、プログラムにできる仕事はプログラムに任せてしまったほうがはるかに効率が良い。ほかの人たちは、それ以外の仕事ができるのだから、全体ではより多くの仕事ができるはずだ。
4.
「苦労・頑張りと報酬が結びつかないこと」が認められない、頭の固い人にとっては、「仕事は大変なもの」である。
逆に言えば、「自らの仕事を効率化して生産性を上げる」という最も大切な仕事を怠けているともいえる。
頭の固い人が1人や2人ならいいけれど、社員が競い合うように苦労や頑張りを最も重視するようになり、仕事の効率化をなるべくしないように努力し始めたら……その会社に未来はないだろう。
(いわゆる「社員のがんばる姿を評価する」みたいな体育会系の会社と取引させて頂いたこともある。しかしその多くが残念ながら、クライアントと上司に振り回され、社員が鬱や体調不良で辞めていったり、最悪の場合には潰れるケースも目にした…。)
過労死をなくすために残業を強制的に禁止したり、お店の営業時間を減らしたりすることは良いことだろう。
しかし「その分しっかりと効率を上げる」ということを真剣に考えていかないと、結局は悪い結果をもたらすことになるでしょうね…。