「この子らを世の光に」の話〜相模原障害者施設殺傷事件を考える
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NHKスペシャル『ラストメッセージ この子らを世の光に』(2007)を見た。戦後障害児教育の父とも言える糸賀一雄のドキュメンタリーだ。
例の相模原障害者施設殺傷事件の影響を受けての放送のようだが、大変考えさせられた。
「能力のない人が排除される」という構造は、今の社会に確かに存在する。
これは何も障害者に限った話ではない。
学校でも成績によって次の学年や学校が振り分けられる。人によっては、それで就職の可能性が狭められる。本人に能力があっても、経済的な理由で可能性が断たれるケースも多い。会社でも、結果の出せない社員はリストラされたり、自主退職に追い込まれる。
こういう構造の中では、障害者も健常者も、本質的に変わらないのではないか。
そして『強者しかいらない』という世界は、殺し合いの世界だ。障害者のQOL(quality of life=生活・人生の質)は、そのまま健常者のQOLに直結していると言っても過言ではない。つまり、障害者が脅かされ、幸せではない社会は、健常者にとっても、常に何かに脅かされ、幸せではない社会と言えるように思える。
……昔『バトルロワイアル』という映画があったが、そのような視点で改めて見ると、興味深いかもしれない。
2.
おそらく大切なことは、多様な生き方や価値観が整備され、そこを縦横無尽に横断できる自由だ。
また、ある生き方や価値観が、他の生き方や価値観を否定することがないようにすべきだ。
そして、多様な生き方や価値観こそ、公共の教育で子供達に伝えるべきだ。
障害のある人の多様な生き方や価値観を認め、他者がそれを否定し、破壊することは許されない。
一般的な学校や会社の「成果主義」についていけない人が、競争のない生き方や価値観を選びたいのなら。他者がそれを否定し、破壊することは許されない。
3,
世の光 「この子ら」とは 私たち
新世紀を 照らす光に