『女のいない男たち』を巡るゆったりした1日の話
1. 今日は、スパゲッティの朝食を挟んで、2度寝した。
天気が良かったので、島の内陸にある図書館へ車を飛ばした。
今日は平日なので観光客もおらず道路は大変空いている。その図書館はこじんまりとしているがとても綺麗だった。ここ数年で立て替えか改築でもしたのだろうか? ここは靴を脱いでスリッパで上がるという変わった図書館だ。入り口で迷っていると、眼鏡をかけた中年女性の職員がわざわざ案内してくれた。目の前には小学校、図書館奥には保育園がある。
自分は、目当ての本『女のいない男たち』をすぐに見つけた。村上春樹の短編集で、関東の図書館ではたいてい借りられていて、何組か予約も入っているはずだ。島の人たちは、村上春樹をあまり読まないのだろうか?
今日は、前書きとはじめの2編を読んだ。すごく素敵な話で、体の内側から活力を与えてくれるような、そんな感じだった。
2.
さて、読んでいる途中、子供達がどんどん増えてきて、宿題をやったり、本を読んだり、友達とじゃれたり…そんなふうに思い思いに過ごし始めた。それで、この小さくて綺麗な図書館は、放課後の子供達の憩いの場なのだと知った。
小さい子達は、いつもはいない大きなゲスト(私のことです)に興味を示しつつ、しかし、邪魔するでもなく、過ごしていた。
子供達は、どこの地域でも、そしておそらくどこの国でも同じだな、と思ってなんだか嬉しくなった。 小説を読んだ後は、東の岬に車を飛ばし、夕日を眺めながら一服した。
海はどこまでも雄大で、雲に映る夕日は美しかった。
3.
本当に、とっても素敵な図書館だった。
観光客の多くは地元の図書館に足を運ばない。もしも本が好きならば、とてももったいないことだと思う。
同じ本でも、やっぱり読む環境やタイミングで、読書体験が特別な輝きを放つこともあるのだ。
【追記・島の図書館で読んだ本】
・ニートの歩き方(pha)
…「メキシコ人漁師の話」をこの本で知った。頭がいい人ほど、人生の豊かさが金銭では測れないこと、そして"「お金が無くても豊かに生きる方法」があること"に気づいているのかもしれない。
ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法
- 作者: pha
- 出版社/メーカー: 技術評論社
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・ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する(島田紳助)
…芸能人とか、黒い疑惑などの先入観を差し引いて言うならば、島田紳助は希代のビジネスマンだ。この人は、成功するビジネスとは何か、その本質をとても平易な言葉で語ることができる。それは、極端に言うと「失敗しても痛くないビジネス」だ。根性論に頼らない見事な論理性、万全なリスクヘッジが、余裕を生み、数々のビジネスを成功に導いた。もしかするとMBAなんか取るより、この1冊を読んだほうがよっぽどタメになるのでは!?と思った。名著。
ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する―絶対に失敗しないビジネス経営哲学 (幻冬舎新書)
- 作者: 島田紳助
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・全貌ウィキリークス(マルセル・ローゼンバッハ)
…300ユーロの黒いEeePC(小型ノートパソコン)で、権力を脅かし、世界を変える…。「ウィキリークス」の創設者ジュリアン・アサンジは、ネットカルチャーの申し子のような存在だ。この本は、ジュリアン・アサンジの生い立ち・パーソナリティから、「ウィキリークス」の社会的意義やそのインパクトまでをコンパクトにまとめた好書。この本を流し読みするだけで、大まかにカバーできる。…近代国家は「情報(秘密)」によって成立している。情報こそが、国際間の力関係をも左右する。時には戦争や紛争の開始・終了をも決定する。アサンジ氏の活動を知り、それから豊洲問題などを考えると「本当にオープンな情報と、本当に自由な民主主義の実現はまだ難しいかな」と思ってしまう。
- 作者: マルセル・ローゼンバッハ,ホルガー・シュタルク,赤坂桃子,猪股和夫,福原美穂子
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・日本は世界5位の農業大国 (浅川芳裕)
…ここに書かれていることが事実ならば、国民は「日本の食が危ない」というイメージに騙されていることになる。まず「食料生産の担い手が減っており、高齢化しているから日本の食糧自給率が崩壊する 」というイメージ。農業の担い手が減っており、高齢化しているのは事実だが、生産者1人あたりが養える国民、供給できるカロリーは増えている。つまり、生産者が減っても全く問題ない。考えて見れば、農業だってトラクターを使うし、ビニールハウスの普及によって、より安全で効率的に収穫ができるようになっているのだ。おかしなことになっているのは、農水省の利権がらみ…まったくあきれる。
日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社+α新書)
- 作者: 浅川芳裕
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・働かないって、ワクワクしない?(アニー・J・ゼリンスキー)
…正直なところ、若干内容が薄い部分もある。しかし、ポジティブな内容だし「働くことが当たり前」という固定観念で疲れ切っている方などには、大きなインパクトを与えると思う。これを読むと「労働も一種の病気なのかもな」と思える。自分の考え方をしっかり持たないと、いつの間にか馬車馬になってしまう。気をつけねば。
他にもいろいろ読んでいますが、今日はこのへんで…。